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7.122016
アトピーの色素沈着はレーザートーニングで治す!
毎週火曜日は手術やレーザー治療等を集中的に行っている「予約制処置日」です。本日来院された患者様の中で「アトピー性皮膚炎による色素沈着をレーザートーニングで治療中」の方がいらっしゃいましたので、今回はこの治療について解説しますね。
その前に、本日の施術実績について。
本日もたくさんの施術をさせて頂きました。当院にあるレーザー機器・美容機器のほぼすべてが稼働した日でもありました。ありがとうございました!
・手術:(複数人)血管腫、線維腫、ホクロなど
・老人性色素斑(シミ):(複数人)レーザー治療
・脂漏性角化症:レーザー治療
・太田毋斑:レーザー治療
・陥入爪、巻き爪:(複数人)マチワイヤー挿入治療
・レーザートーニング:(複数人)頚部、四肢など
・CP-EP(ケミカルピーリング+エレクトロポレーション)
・レーザーフェイシャル
・リフトアップレーザー
・フラクショナルレーザー:鼻(開大毛孔治療)
・腋窩多汗症:ボツリヌストキシン製剤注入(ワキ汗治療)
・医療レーザー脱毛:(複数人)両ワキ、背中など
・エンビロン 超音波・イオン導入(複数人)
それでは本日の主題でもある「アトピーの色素沈着はレーザートーニングで治す!」です。
アトピー性皮膚炎(以下、AD)は皮膚の炎症を繰り返すため、炎症後色素沈着が出やすい病気です。皮膚炎の範囲に応じて、全身どこにでも炎症後色素沈着が起きますが、「露出頻度が高く、他人から見られやすい」という点で「頚部(首)」の治療を希望される方が多い傾向にあります。顔面はメイクで隠せますが、頚部は難しいという理由もあるかもしれません。
ADの「頚部〜前胸部(時に背部)に見られるさざ波様色素沈着」は「dirty neck」とも呼ばれ、ADの方に非常によく見られる所見でもあります。原因としては、繰り返した皮膚の炎症、ご自身による掻破(そうは)、紫外線による刺激などによって、以下の2つの変化が起こったことによります。。
①色素細胞の活性化による「表皮内メラニン沈着の増強」
②表皮基底層の破損による「真皮内へのメラニン色素の滴落」
「①表皮内メラニン沈着の増強」は一般的な炎症後色素沈着においてみられる現象です。「②真皮内へのメラニン色素の滴落」はかなり激しい皮膚障害が起こらなければ認められない現象です。
「①表皮内メラニン沈着の増強」の舞台である表皮は、ターンオーバー(新陳代謝)が早い組織です。通常、表皮基底層で分裂・新生した角化細胞は、約28日でアカとなって皮膚表面からはがれ落ちます。従って、「①表皮内メラニン沈着の増強」は原因を除去できれば、3〜6ヶ月程度で自然に回復します。
真皮は表皮と異なり新陳代謝が遅いため、異物が入っても簡単に排出されません。これを逆手に取ったのが「刺青・tattoo」ですよね。異物がずっと留まり続けることができるため、「刺青・tattoo」が生涯に渡って存在し続けられるのです。
ということで、ADで生じる「②真皮内へのメラニン色素の滴落」はとても重大な出来事なのです。皮膚の外側からどんなに優秀な美白剤を外用しても、この病態を改善することは出来ません。
ADによって「①表皮内メラニン沈着の増強」と「②真皮内へのメラニン色素の滴落」が混ざった「頚部〜前胸部(時に背部)に見られるさざ波様色素沈着」は、このようにとても複雑な病態となっています。
では一体どうやって解決するのか? ここからは具体的な治療のお話です。
まず、ADのコントロールをしっかり行って、その部分の皮膚炎を繰り返し起こさないようにすることは基本中の基本です。
「①表皮内メラニン沈着の増強」は美白剤の内服と外用です。
「②真皮内へのメラニン色素の滴落」はレーザー治療しかありません。メラニン色素に吸収される波長のレーザー光線を照射して、真皮内に溜まっているメラニン色素を粉々に砕く必要があります。このような治療効果が期待できるレーザー機器は、現在のところ「Q-スイッチ・レーザー機器だけ」です(ピコレーザーという新しいレーザー機器もありますが、臨床応用されてからの日が浅く、効果、安全性ともに評価が定まっていない状況です)。
しかし「Q-スイッチ・レーザー機器であればどれでもいい」という訳ではありません。シミやアザの治療に用いられる一般的なQ-スイッチ・レーザー機器では、そのレーザー光線が「①表皮内メラニン沈着の増強」に反応して、色素の更なる増強や、その逆の「脱色素斑」を作ってしまうからです。
ここからが核心部分です。今日の文章は長過ぎますね。すみません。ここまで熱心にお読みいただきありがとうございます。
「①表皮内メラニン沈着の増強」を悪化させず、「②真皮内へのメラニン色素の滴落」を改善する治療方法は、「レーザートーニング」しかありません。レーザートーニングを行えるQ-スイッチ・レーザー機器でなくてはならないのです。当院では「MedLite C6」を活用しています。
ちなみにレーザートーニングは「①表皮内メラニン沈着の増強」も改善しますから、この治療を行うことによって「頚部〜前胸部(時に背部)に見られるさざ波様色素沈着」の2大原因を同時に治療することが可能です。
最後に注意事項です。確かにADによる炎症後色素沈着に対してレーザートーニングは有効ですが、1回、2回では終わりません。5回、10回、場合によっては20回以上かかることもあります。
「①表皮内メラニン沈着の増強」はレーザートーニングといえども、強く照射し過ぎれば必ず悪化します。そのようにならないためにも、レーザートーニングの基本である「複数回に分けて、少しずつ改善する」を着実に実行しなくてはなりません。
是非とも根気よくレーザートーニングを継続していただき、ADの色素沈着を改善しましょう!
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