アナウンスBlog

当院における多汗症・腋臭症(ワキガ)治療のまとめ



多汗症・腋臭症(ワキガ)治療に関しては様々な治療方法があります。当院で行っている治療について、保険診療と自費診療を全てまとめてみたいと思います。

【全身性多汗症】

体の一部ではなく、全身、もしくは体の広い範囲から汗が大量に出るケースを「全身性多汗症」と診断します。全身性多汗症の場合は、保険適応となる内服薬による治療を行っています。

■プロ・バンサイン(抗コリン作用を有する多汗症治療薬)
■補中益気湯(漢方薬)

これらの内服薬を単独で服用、もしくは両方とも服用して、発汗のコントロールを行います。内服のペースは人それぞれで、毎日きちんと服用している人もいれば、汗を多くかきそうな日だけ服用している人もいます。

木立の挿絵

【局所性多汗症】

汗が出やすい部位によって、それぞれ手掌多汗症、足底多汗症、掌蹠多汗症(掌と足底)、腋窩多汗症と診断されます。局所性多汗症の場合は、外用薬か注射となり、全て自費診療となります。

選択方法としては、「腋臭症(ワキガ)や手足にかく汗の臭いが気になる方」には、「D-チューブ」をお勧めします。

「まずは簡単にできるものから試してみたい」という方には、「塩化アルミニウム液」がいいでしょう。

「とにかくワキ汗はしっかり止めたい」という方には、「ボツリヌストキシン製剤注射」が最適です。

■塩化アルミニウム液
・20%塩化アルミニウム液 30ml 160円(税込)
・50%塩化アルミニウム液 30ml 380円(税込)

手掌、足底、腋窩(ワキの下)へ外用可能です。

塩化アルミニウム液を外用することにより、汗管(汗を体の外に出すための管)が徐々に閉塞する結果、発汗が減少します。長期間汗管が塩化アルミニウム液による影響を受け続けると、汗腺(汗を作る分泌腺)が廃用性萎縮(使われない状態が続くと機能が落ちる現象)を生じ、汗の分泌量自体が減少するため、継続的な外用が望ましいです。

塩化アルミニウム液はまれに接触皮膚炎(かぶれ)を起こすことがあるため、まずは20%から開始して下さい。効果が不十分な場合は、50%をお試し頂きます。

■D-チューブ 40g 1,800円(税別)

手掌、足底、腋窩(ワキの下)へ外用可能です。

塩化アルミニウム液が制汗を目的としているのに対し、D-チューブは制汗、消臭目的に使用します。消臭作用によって腋臭症(ワキガ)や足の悪臭を改善します。

D-チューブの主な成分は「乾燥硫酸アルミニウム/カリウム(焼ミョウバン)」と「イソプロピルメチルフェノール」です。

「乾燥硫酸アルミニウム/カリウム(焼ミョウバン)」の優れた収れん作用は、毛穴を引き締めたり、制汗作用として効果を発揮します。また、悪臭の原因であるアンモニアを中和・消臭します。その他、肌の弱酸性を保ち、細菌の増殖や汗の臭いを抑える働きもします。

「イソプロピルメチルフェノール」は臭いの原因菌を殺菌することにより、消臭効果を発揮します。

D-チューブは直塗りクリームタイプのため、手掌、足底、腋窩のどこにでも塗りやすい製品です。また、朝塗るだけで夜まで長時間効果が持続し、塗り直しの手間がいらない点も優れています。

■ボツリヌストキシン製剤注射(両ワキ100単位) 60,000円(税別)

汗の分泌は「アセチルコリン」という神経伝達物質でコントロールされています。ボツリヌストキシンはアセチルコリンの分泌を抑制する薬剤であるため、皮膚内に注射するとその部分だけ汗の分泌が激減します。

このようなメカニズムを応用し、腋窩(ワキの下)の多汗症をボツリヌストキシン製剤によって治療することが可能になります。

腋窩へのボツリヌストキシン製剤注射後、約2~3週間で効果を発現します。約6ヶ月の発汗抑制作用が持続します(薬剤感受性の差などにより、治療効果、および持続時間には個人差があります)。



関連記事


ページ上部へ戻る