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5.22017
オテズラ錠 院内勉強会
本日は昼休みの時間を利用してセルジーン(株)さんによる「オテズラ錠」院内勉強会を開催しました。
乾癬(かんせん)という病気があります。これは非常に長い期間慢性的に皮膚炎の悪化と軽快を繰り返す病気です。欧米では患者数が多いため一般に広く認知されていますが、日本ではまだまだ知られていない病気だと思います。
オテズラ錠は乾癬に対する25年ぶりの経口剤新薬として登場した薬です。「難治性尋常性乾癬」および「関節症性乾癬」に対して健康保険が適応される薬です。
乾癬に対する内服薬として、これまでは「副作用はほぼ無いが、効果もマイルドな抗アレルギー剤」、もしくは「副作用は出やすいが、高い効果が期待できるビタミンA誘導体、免疫抑制剤」という両極端なラインナップしかありませんでした。
今回新発売されたオテズラ錠は、「副作用は少なく、効果が良いPDE4阻害剤」という位置付けです。本日の勉強会でオテズラ錠内服Before-Afterの臨床写真を多数見せていただきましたが、効果としては「これまでのビタミンA誘導体、免疫抑制剤と同等、もしくはそれ以上」という印象でした。
非常に高い効果が期待できそうなオテズラ錠の作用機序は以下の通りです。
乾癬では「免疫細胞や表皮細胞内におけるPDE4(ホスホジエステラーゼ4)の過剰発現によるcAMP濃度の低下」が生じ、皮膚炎の原因となる炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-23、IL-17、INF-γなど)の産生が亢進しています。そしてIL-10などの抗炎症性サイトカインが減少します。
オテズラ錠はPDE4阻害剤として働き、cAMP濃度を上昇させます。その結果炎症性サイトカインを減少させ、また抗炎症性サイトカインを増加させ乾癬を改善へ導きます。
オテズラ錠の臨床試験成績の一部をご紹介します。効果判定に使用されるPASIとは「Psoriasis Area and Severity Index」の略で、乾癬の代表的な重症度評価法です。PASI75とは「治療前と比べPASIスコアが75%改善した」という状態を指し、薬剤臨床試験における1つの目安となっています。
【海外第III相臨床試験 ESTEEM-1】
・PASIスコア改善率 投与4週約35%、8週約50%、32週約60%
・投与16週のPASI75達成率 33.1%【国内後期第II相臨床試験 FREEDOM】
・PASIスコア改善率 投与4週約30%、8週約40%、32週約70%
・投与16週のPASI75達成率 28.2%
この結果を分かりやすく表現すると、「内服開始から8ヶ月(32週)で乾癬の重症度が60〜70%改善する。また三人に一人は内服開始から4ヶ月(16週)で重症度が75%改善する」ということです。
ほどんど副作用がない薬にもかかわらずこのような効果が発揮されるのは素晴らしいと思います。
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