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11.12017
稗粒腫は治療後も再発しますか?
患者様よりお問い合わせを頂きました。
稗粒腫の治療においては、皮膚内の袋状のものまでしっかりと摘出をしなければ再発率が上がるようです。
そちらの方法では、袋状のもの自体を取り除いていただけるのでしょうか?
当院からの返信です。
〇〇様
お問い合わせありがとうございます。
松島皮膚科医院の松島弘典です。「稗粒腫の再発」について回答いたします。
稗粒腫の本質は、皮膚の浅いレベルに存在する「小型の角質嚢腫(のうしゅ)」です。嚢腫とは「袋状の構造を有する腫瘍」という意味です。
稗粒腫でみられる嚢腫は、「数層の表皮に類似した細胞からなる袋状構造」と「内部に充満している角質物質」から成ります。
このような構造を有しつつ、より大型の腫瘍になると「アテローマ」と呼ばれます。アテローマは「アテローム、粉瘤(ふんりゅう)、上皮嚢腫、毛包嚢腫」という別名もあります。
ちなみに稗粒腫の大きさは通常1~2mm、アテローマは自覚できるレベルになる頃には最低でも5mmはあり、大きいものでは10cm以上となります。
ここまでが基礎知識で、これらが以下のご質問の答えにつながります。
Q 皮膚内の袋状のものまでしっかりと摘出をしなければ 再発率が上がるようですが、そちらの方法(※1)で、袋状のもの自体を取り除いていただけるのでしょうか。
(注記※1) 当院における治療方法は「稗粒腫の治療に炭酸ガスレーザーを用いていますか?」にて解説しています
稗粒腫は1~2mmの非常に小型な腫瘍のため、処置をすると簡単に全体を丸ごと圧出することが可能です。むしろ袋状構造物を残して、内部の角質物質のみを取り出すことが不可能なほどです。
それに対しアテロームの治療においては、患者様のご希望により治療方法が変わります。
「手術を受ける時間的余裕もないし、とりあえず一時的に平坦化すれば良い」という場合は、切開して内容物を圧出して終了となります。この方法では袋状構造物は残りますので、数年後には再度膨らんでくる可能性があります。
「完治を希望する」という場合は、手術的に袋状構造物を全て摘出することになります。
従って、ご質問の中で心配されている「袋状構造物を残すと再発する」という情報はアテローマに関するものとお考えいただいて結構かと思われます。
なお、稗粒腫は「毛包(毛を包んでいる組織)の一部が変形・増殖して生じる」と考えられています。毛包は皮膚内には無数にあるため、体質によっては治療後も周辺部分から次々出てくる方もいらっしゃいます。
この現象は治療部位からの再発ではなく、本疾患の特徴とお考えください。
以上となります。
どうぞよろしくお願いします。
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