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1.122018
【マッサージピール】結局、何がすごいの?
昨年(2017年)、美容系雑誌や女性誌などで頻繁に取り上げられ、最も注目されていた治療方法の1つとして「PRX-T33」があります。通称、マッサージピールと呼ばれているため、本Blogでも「マッサージピール」で統一したいと思います。
約半年前に当院でもマッサージピールを購入し、スタッフ同士で繰り返し施術して来ました。新しい治療方法はこのような形で十分な時間をかけ、吟味してからでないと患者様に提供できませんからね。
その結果、ようやくマッサージピールをメニューに加える準備が整いましたので、これから数回に渡って本治療について解説していきたいと思います。
「PRX-T33」という正式名称だけ聞いても意味不明ですし、マッサージピールと聞いても「単なるマッサージ?」、「ピーリングするの?」と、こちらも「治療によって得られる効果」を示した名称ではありません。
それでは結局、マッサージピールとは「どのような点が画期的」なのでしょうか? また、その作用の結果、どのような効果が得られるのでしょうか?
マッサージピールにおいて最も画期的な点は、以下の通りです。
表皮を傷めることなく、真皮を刺激することができる
この作用機序の素晴らしさについては、後日、他の治療と比較しながら解説します。ですから、現時点ではマッサージピールが「表皮を傷めることなく、真皮を刺激することができる」治療方法であることを覚えておいてください。
次は「効果」です。マッサージピールで得られる効果は、こちらになります。
■肌のハリ感の改善
■シワ、タルミの改善
■美白効果
「肌のハリ感がなくなってくる」、「シワ、タルミが目立ってくる」という症状は、主に真皮の問題です。「真皮の厚みが減少する」、もしくは「厚みは保たれていても、真皮を構成している各成分の密度が低下している」と、前述の諸症状につながっていきます。
「マッサージピールは表皮を傷めることなく、真皮を刺激することができる」という意味は、「治療によって真皮の構成成分を産生している細胞(線維芽細胞)を刺激し、その産生量をUPさせることができる」ということです。
その結果、「肌のハリ感の改善」、「シワ、タルミの改善」といった効果を得ることができるのです。
最後に、マッサージピールに含まれる主成分をご紹介します。
★TCA(トリクロロ酢酸)
★過酸化水素水
★コウジ酸
TCAと聞くと、我々皮膚科医は「TCAピーリング」を連想します。TCAピーリングとは皮膚の深い部分にまで作用する強力なピーリング方法で、一般的には「ニキビ後に生じた陥凹性瘢痕(皮膚が硬くなり、凹んでしまった傷痕)」を治療するために行われます。
TCAは強力な酸性物質であるため、皮膚にTCAピーリング溶液を塗ると、表皮〜真皮浅層は蛋白凝固(壊死)を生じ、真皮深層では線維芽細胞を刺激します。分かり易く表現すると「凹んでしまった傷痕の表面を削ってリセットし、真皮をボリュームUPさせて盛り上げる」ということになります。
マッサージピールの主成分を聞いた時は「強烈な物質であるTCAを塗って大丈夫なのだろうか?」と思いましたが、過酸化水素水を配合させることが解決策となり、製品化されるに至ったそうです(特許取得)。
つまり、「TCAによって生じる表皮〜真皮浅層における蛋白凝固(壊死)作用」は回避しつつ、「TCAが持つ線維芽細胞を刺激し真皮を回復させる作用」だけを発揮させることが可能になったということです。
素晴らしい発見です!
ちなみに過酸化水素水はごく一般的な成分で、皮膚では医療用の消毒剤(オキシドール)として使用されているものです。
消毒剤といっても蛋白障害作用はありませんのでご安心ください。過酸化水素水とは生体が持つカタラーゼという分解酵素に触れるとすぐに酸素に分解され、その発泡作用で傷口を洗浄したり、嫌気性菌に対して抗菌効果をするものだからです。
主成分3つ目のコウジ酸は「美白剤」です。そのためマッサージピールを繰り返し受けることによって、美白効果も同時に得られるようになっています。
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