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5.222018
【院内勉強会】治りにくい蕁麻疹にはゾレア(注射薬)
本日は昼休みの時間を利用してノバルティスファーマ(株)さんによる院内勉強会「ゾレア(皮下注用)」を開催しました。
ゾレアは「ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体」が主成分の注射薬です。蕁麻疹の発生機序として「IgEがマスト細胞や好塩基球に結合することによってそれらからヒスタミンが放出され、赤み・痒み・腫れを伴う症状が出現する」などが考えられるため、IgEの機能を阻害して蕁麻疹の発症を抑制するという目的です。
ゾレアが保険適用となるのは「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」とされています。既存治療とは主に抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤による治療です。ほとんどの患者様は既存治療で良くなるのですが、中にはうまくいかないケースもありますので、そういった際に選択できる治療が1つ増えたということになります。
ゾレアの効果に関しては、本日「第III相国際共同臨床試験」の結果を解説していただきました。対象は「既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹」なので、そもそも難治性で実際の臨床現場でもコントロールが難しい方々です。このような対象群に投与した結果であったにもかかわらず、ゾレアはかなりの効果を示していました。相当効く薬剤なのだろうと思われます。
良い薬剤だとは思いますが、薬剤費もかなりのものです。現時点の薬価では、4週間に1回の注射費用が「91,156円」です。3割負担で27,347円、2割負担で18,231円、そして1割負担で9,116円です。費用面でいうと、ゾレアの注射費用以外にも、初・再診料や投薬・調剤料、及び既存治療薬(抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤など)などがかかります。
高額な治療ではありますが、蕁麻疹の痒みも尋常ではないため、治療効果と費用のバランスを考えた上での治療選択になるかと思われます。「ゾレアが目指す治療ゴール」として、パンフレットには以下のように紹介されています。
今までの治療薬を使っても残っている症状をコントロールして、活動的な日常生活を送ることを目指します。
・人目を気にせず活動したい
・仕事や学業に集中したい
・夜、ぐっすり眠りたい
・日常生活を楽しみたい
当院でゾレアを採用するかどうかは未定ですが、どうしても既存治療でコントロールできない慢性蕁麻疹の患者様を診療することになった際には、検討したいと思います。
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