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7.132018
アトピー性皮膚炎による頚部色素沈着は治りますか?
患者様よりお問い合わせを頂きました。
私はアトピー性皮膚炎で、3〜4年前に首の痒みがひどく極度に掻いてしまい、茶色く色素沈着が残ってしまいました。今は病院を変えて、自分に合う薬を処方してくださる所で治療を受け、痒みは改善されました。
しかし、現在高校三年生ということもあり首を見せるのが恥ずかしく、首元が空いている服が着れないところがあり、色素沈着を出来るだけ早く改善したいと思っています。
1ヶ月ほど前に東京にレーザー治療を受けに行ったのですが4万円と高く、もっと安く頻繁に行けて効果もある病院はないと探しましたところ、このホームページを見つけました。
質問は、治る目安はどのくらいなのか、首の治療はいくらかかるのか、初診の時から治療を行うことが可能なのか、最も早く効果が確実な治療は何なのか、ということを聞きたいです。
長くなりましたが読んでいただけると嬉しいです。
当院からの返信です。
〇〇様
お問い合わせありがとうございます。
松島皮膚科医院の松島弘典です。ご質問の「アトピー性皮膚炎による頸部色素沈着」について回答いたします。
まずアトピー性皮膚炎(以下、AD)による「頚部〜前胸部(時に背部)のさざ波様色素沈着(dirty neckとも呼ばれる)」は、過去に当Blogでも解説させていただいたことがあります。基本的な情報として、ご理解いただきたい内容も多く含まれるため、下記ページもご一読ください。
過去記事にも書かれているように、「さざ波様色素沈着(dirty neck)」はADの結果生じるため、皮膚炎のコントロールが最も重要です。
現在痒みはかなり改善されているようですが、それでも軽微な慢性炎症が持続していると思われるため、プロトピック軟膏などによる炎症のコントロールは必ず並行して行う必要があります。完全に炎症がコントロールされていない場合、色素沈着に対する治療を行っても効果的ではないためです。
もう1つご理解いただきたいのは、「さざ波様色素沈着(dirty neck)」の治療は非常に難しいという点です。一般的な炎症後色素沈着であれば、通常3〜6ヶ月程度で自然に回復します。それを超えて長時間持続する本病変は、「皮膚内部が簡単に治癒するような状態ではない」ことを示唆しています。
以上を踏まえつつ、個別項目への回答をご覧ください。
Q.1 最も早く効果が確実な治療は何ですか?
A.1 過去記事にも書きましたが、「さざ波様色素沈着(dirty neck)」を構成している要素は、色素細胞の活性化による「表皮内メラニン沈着の増強」と表皮基底層の破損による「真皮内へのメラニン色素の滴落」です。特に「真皮内へのメラニン色素の滴落」を治療できる医療レーザー機器は限られています。これらの事情から当院では「MedLite C6によるレーザートーニング」を第一選択としています。その他、プラズマ治療を併用することもあります。
しかしながら本病変は「皮膚内部が簡単に治癒するような状態ではない」ため、「確実に治します(正常色の皮膚に戻せます)」と断言することはできません。また患者様によって重症度も様々です。あくまでも、「最大限努力します」というご提案の上で治療を開始させて頂く形となります。
Q.2 治る目安はどのくらいですか?
Q.3 首の治療はいくらかかるですか?
A.2 & 3 上記2点は同じ内容かと思われますので、まとめて回答いたします。「MedLite C6によるレーザートーニング」は頚部に対して1回あたり18,000円(税別)で行っています。治療回数は重症度により様々ですが、10回以上はかかると思います。重症な方は20回以上受けてらっしゃる方もいます。従いまして、治療前に概算であってもご案内することができません。それほどまでに難しい治療であるとご理解いただければと思います。
Q.4 初診時から治療を受けられますか?
A.4 まず治療をご希望の際には、月・水・金、もしくは土曜日(午前)の一般診察をお受けいただきます。その日は「診察→解説→同意書にサイン→ご予約」という流れになります。施術日は「毎週火曜日(午前・午後)」、「第3週土曜日の午後(時に変動あり)」となります。以上となります。
ご検討ください。宜しくお願いします。
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