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1.42019
無数にある老人性イボは取れますか(その1)?
患者様よりお問い合わせを頂きました。
現在31歳になりますが、20代前半から突如お腹周りに茶色いホクロのようなものができはじめました。気になり皮膚科を受診しましたが、「老人性のイボなので、放っておくしかない」と言われました。その後、現在に至るまでにだんだん広がり、今ではお腹周りだけでなく、胸の周りまで広がりました。個数は数百個だと思います。
明らかに老人性のイボが広がり、上へ上へと上がってきます。今はお腹周り全体と、胸の両外側に無数にあります。これ以上放っておくと胸の周り全体に老人性のイボが広がるのではないかと心配になりました。さらには首から上、顔まで広がるのではと考えると恐怖でしかないです。大変悩んでいます。
老人性のイボはここまで広がったりしますか? 何か病気ではないかと不安です。
また、もしこの老人性のイボを取りたいと思った場合、無数にあるため料金面が気になります。概算で結構ですので、目安を教えていただけないでしょうか。
申し訳ございませんが、ご回答よろしくお願いします。
当院からの返信です。
〇〇様
お問い合わせありがとうございます。
松島皮膚科医院の松島弘典です。ご質問の「多発する脂漏性角化症(老人性イボ)の治療」について回答致します。
脂漏性角化症は皮膚の老化現象の一種です。皮膚の老化は紫外線の暴露によって加速するため、顔面、頚部、前腕、手背(手の甲)などの露出部位に脂漏性角化症は発症しやすい傾向にあります。
しかしながら、ご自身のように若年時から生じる方もいらっしゃいます。このような方々は「一般的な老化に伴う脂漏性角化症」とは異なり、「脂漏性角化症という良性皮膚腫瘍を生じやすい体質」が原因ではないかと私は考えています。「母親も同じだった」など遺伝傾向がありそうなお話を伺うこともございます。
若年時から生じる方は、体幹部分に脂漏性角化症が多発しやすい傾向にあります。ですので、現時点の「腹部~両側胸部にある無数の病変」は、ご自身の体質を考慮すると「あり得る」と思われます。
脂漏性角化症で問題となるのは「Leser-Trelat徴候(レッサ-トレラ サイン)」と呼ばれる「半年程度の短期間に、急激に病変の数が増え、かつ痒みを伴うケース」です。この場合は内臓悪性腫瘍(特に消化器系悪性腫瘍)が原因で皮膚に影響が出てきている可能性があり、検査が必要です。ご自身のようにゆっくりと数が増えている場合はこれに該当せず問題ありません。
次に治療についてですが、保険診療の場合は「液体窒素による冷凍療法」となります。正式名称、料金は以下の通りです(2018年11月現在)。
【いぼ等冷凍凝固法】
・3個以下 2,100円(3割負担の場合、630円)
・4個以上 2,700円(3割負担の場合、810円)数が多い場合は分割で治療する必要があり、当院では1回に10個程度ずつ治療しています。
自費診療ならば「ロングパルスアレキサンドライトレーザーの重ね打ちでイボ組織だけをカサブタにして除去する方法」をお勧めします。
【ロングパルスアレキサンドライトレーザー治療】
・手のひら1枚分の治療面積 19,800円(税込)(2021.7.18改定)概算ですが、一般的に腹部の面積が「手のひら9枚分」、胸部で「手のひら9枚分」とされています。
回答は以上となります。
ご検討ください。宜しくお願いします。
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