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2.82019
抜毛後のぶつぶつとした皮膚隆起 これ何ですか?
患者様よりお問い合わせを頂きました。
中学生の時にひげの毛を何度か抜いていたら、そのまま細かくぶつぶつと皮膚が膨らんでしまいました。やや色素沈着もあります。
「大人になり治療できるのかな?」と美容形成に診察のみ行きました。1件ではピコフラクショナルがいいと、2件目では治療法はないがアグネスならもしかしたら少しは変化が認められるかもといわれました(ピコは皮膚を盛り上がらせる治療なので、さらに膨らむとのことです)。3件目では治療法は無いと。
ピコは膨らんだ傷には非対応でしょうか?
ここまでで先生がご判断できる治療方法はありますか?
当院からの返信です。
〇〇様
お問い合わせありがとうございます。
松島皮膚科医院の松島弘典です。ご質問の「皮膚の隆起性病変」について回答いたします。
まず初めに、3件の医療機関を受診して病名も告げられず、また治療方法にも統一性がないことから、容易に診断名をつけることができない症状であることが推測されます。
従いまして、現在いただいている情報のみから診断をつけたり、治療方法を検討することはできません。
恐らく「ヒゲを繰り返し抜いたことで慢性的な炎症が毛包を中心として起こり、その結果炎症後色素沈着や毛包周囲の線維化を招き隆起してきたもの」と思われます。
診断がつかないまま闇雲に治療を行うことはできません。必要であれば生検(皮膚の一部を取り、病理組織検査をする)を行い確定診断をつけることが重要となります。治療方法の選択はその次です。
ピコレーザーとは「10億分の数秒ほど照射するQスイッチレーザー」よりもさらに短時間の照射が可能なレーザー機器の総称です。各社が様々なレーザー波長を用いたピコレーザーを発売していますが、主なターゲットはメラニン色素への吸収であり、シミ・くすみ・刺青除去を目的としたレーザー機器です。
フラクショナルレーザー治療とは「レーザー光線を分割してバラバラに照射する技術」であり、代表的なものは炭酸ガス・フラクショナルレーザーです。当院でも使用しています。ドット状の小さな傷を皮膚にたくさん作り、それぞれの傷での創傷治癒過程で真皮成分が増加することを期待し、ざ瘡瘢痕(クレーター状の凹んだニキビ痕)などに使用します。
ピコフラクショナルとは「ピコレーザーを面ではなく分割(フラクショナル)して点状に照射する技術」です。本治療に関して私自身は使用経験がないため推測でしかありませんが、炭酸ガス・フラクショナルレーザーほど皮膚を蒸散させる力はないため、効果も皮膚浅層に限られ、治療ターゲットはリジュビネーション(美容的な皮膚の若返り)と思われます。
回答は以上となります。
ご検討ください。よろしくお願いします。
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