アナウンスBlog
7.162019
【プラズマ治療②】皮膚への各種作用メカニズム
プラズマ治療器であるNeoGen PSR Evoの皮膚に対する様々な作用機序について解説します。
□親水性の向上、ピーリング作用
プラズマの余分な角質を除去するピーリング作用により「表皮〜真皮上層(毛穴含む)環境の正常化作用」を生じ、肌のきめ、くすみ、毛穴の開き(イチゴ鼻)や黒ずみなどを改善します。また、「皮膚透過性の亢進作用」も生じるためドラッグデリバリー効果UP(施術後に塗布する美肌美容液の吸収率上昇)を実現します。
□殺菌作用
そもそもプラズマには殺菌作用がありますが、当院採用の窒素プラズマは「特に強力な殺菌作用」を有しています。これにより保険診療できちんと治療をしていてもコントロールできないニキビや、どうしても繰り返してしまう大人のオデキを沈静化させることができます。この作用は劇的であり、患者様にとっても最も実感しやすい効果です。
□熱作用、皮膚活性化作用
皮膚へのプラズマ照射によりアンチエイジングに欠かせない成長因子であるFGF(線維芽細胞増殖因子:Fibroblast growth factor)、VEGF(血管内皮細胞増殖因子:vascular endothelial growth factor)の産生が高まります。また熱作用により真皮内のコラーゲン線維、エラスチン線維の産生が高まります。皮膚の組織学的変化として、光老化の一種である「日光弾性症(solar elastosis)」の改善が報告されています。これらの作用により小じわ、肌の質感、毛穴の開きの改善を生じ、さらにニキビ後の陥凹性瘢痕の改善効果があります(重度の陥凹性瘢痕にはフラクショナルレーザーの併用も考慮します)。
□美白作用
プラズマ照射により表皮ターンオーバーの亢進(代謝促進)を生じさせ、表皮内に停滞したメラニンの排泄を促します。それにより肝斑、くすみ、および一般的な炎症後色素沈着(発症から1年以内)を改善します。
「発症から1年を超えて続く炎症後色素沈着(※1)」は特殊な状態にあります。多いケースとしては「①アトピー性皮膚炎による頚部さざ波状色素沈着(Dirty Neck)」、「②ケガやヤケド後に生じる瘢痕組織に伴った色素沈着」です。これらが自然治癒しない理由として、①は真皮内へのメラニン滴落のため、②は瘢痕組織上の特殊な表皮状態によりメラニンの排出機能が著しく低下しているため、と考えられます。
作用機序に関して現時点ではあくまで推測ですが、プラズマ照射による「皮膚の正常化作用」と考えられます。これは①に対して「真皮内に滴落したメラニン色素の貪食亢進」として働き、②に対して「瘢痕組織自体を改善し、表皮ターンオーバーを回復させてメラニンの排出を促進させる」という効果を発揮していると考えられます。②に対してプラズマ照射を繰り返すと、瘢痕組織が軟化しつつ色素沈着も改善していくという経過を観察することができます。
(※1)重度の場合はレーザートーニング、Qスイッチレーザー治療の併用も考慮します。
□瘢痕組織の改善作用
瘢痕組織の正体は「真皮環境のコントロールが効かず、コラーゲン線維の密度が高まり、皮膚が本来有する弾力性を失った状態」です。皮膚へのプラズマ照射により、前述の「熱作用、皮膚活性化作用」と共に「皮膚の正常化作用」も発揮されることにより瘢痕組織の改善につながると考えられます。
これまでの知見により、プラズマには「何十年も硬く隆起し続けてきた瘢痕組織を、軟化・平坦化させる作用」があります。この効果は素晴らしく、他の治療機器でこれほどまでに改善できるものはないほどです。そしてこの効果は「プラズマが皮膚(特に真皮環境)を正常の状態に近づける作用を有しているため」と考えられます。
これらの作用により外傷痕・手術痕などの肥厚性瘢痕、妊娠線・成長線などの皮膚萎縮線条を改善します(重度の場合はフラクショナルレーザー、ロングパルスYAGレーザーの併用も考慮します)。
アナウンス Blogカテゴリー
アナウンス Blog
- 日本レーザー医学会総会で学会発表してきました2024年11月17日
- アトピー性皮膚炎へのデュピルマブ適否と他の対策について2024年11月3日
- レーザー治療後の炎症後色素沈着は一生治りませんか?2024年10月27日
- 先天性ホクロと異所性蒙古斑の治療を同日に受けられますか?2024年10月13日
- 陰嚢被角血管腫の治療後に血栓ができて問題となりますか?2024年10月6日