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10.192020
皮膚科関連のこれから出る薬、出そうな薬(2020.10)
私が皮膚科医になってから25年が過ぎましたが、この間には実に様々な新薬が発売されました。新薬というのは、我々臨床医にとって大変ありがたいものです。
「ある疾患を治療する場合において、既存の薬剤に加え、新薬という新しい解決方法が1つ追加される(臨床医として疾患と闘うための武器が1つ増える)」、もしくは「これまで全く治療することができなかった疾患に対応することができる」ということなので、私自身は新薬の情報を知ると、大変ワクワクします!
皮膚科に関連した「これから発売される薬剤」、または「発売されそうな薬剤」の情報がいくつか分かりましたので、シェアさせて頂きたいと思います。
【デュピクセント皮下注300mgペン】
デュピクセントはアトピー性皮膚炎治療においてゲームチェンジャーとも言える薬剤(注射薬)で、当院でも数多くの患者様にご使用いただいております。
これまでは「シリンジ型」と呼ばれる「注射針+シリンジ」という形状であり、患者様がご自宅にて自己注射を行う際には、「通常の注射の要領で皮下注射を行って頂く」、もしくは「専用アタッチメントを装着して注射して頂く」ということが必要でした。別の表現をすると、「ある程度テクニックが必要」というものです。
これに対して今後発売予定の「ペン型」は「筒状の本体を皮膚に押し当てるだけで自動的に注射薬が皮下に入っていく(オートインジェクター)」という画期的なものです。当院にはすでに「ペン型の指導用キット(写真下)」が来ており、その動作を確認しましたが、注入過程を目視できるよう小窓も備えられており、患者様にとっても大変分かりやすいと思います。
既に製造販売承認は取得済みなので、今後の薬価収載、および発売を待ちたいと思います。
【エクロックゲル5%】
エクロックゲルは日本初の原発性腋窩多汗症用外用剤です。原発性腋窩多汗症の患者様は非常に多いのですが、これまで保険適用となっている外用剤が全く存在しませんでしたので、当院としましては「20%(もしくは50%)塩化アルミニウム水溶液(院内製剤)」を活用していました。
このような状況でしたので、エクロックゲルは画期的な薬剤となるでしょう!
塩化アルミニウム水溶液からエクロックゲルへのスイッチ、もしくは併用してもいいかもしれません(両者とも作用機序が異なるため)。今からとても楽しみです!
既に製造販売承認は取得済みなので、今後の薬価収載、および発売を待ちたいと思います。
【ジファミラスト外用剤(一般名)】
ジファミラスト外用剤はまだ製造販売申請をした段階なので、メーカーから当院に直接情報を頂いたわけではないのですが、今後発売される可能性が高いため加えました。
PDE4(ホスホジエステラーゼIV)阻害薬の内服薬としては尋常性乾癬に対する「オテズラ錠」がありますが、同様の作用を有する外用剤としてはジファミラストが初となります。
ステロイドを含まずアトピー性皮膚炎を治療できる外用剤としては、これまでにも「プロトピック軟膏」や「コレクチム軟膏」などが発売されており、それぞれとても良い薬剤です。これらのラインナップにジファミラスト外用剤が加わる日を楽しみに待ちたいと思います。
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