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1.122021
海外で始めたデュピクセントの国内継続は可能?-②
この記事は「海外で始めたデュピクセントの国内継続は可能?-①(以下、海外デュピクセント①)」の続きとなる内容です。
海外デュピクセント①にて「日本国内においては、アトピー性皮膚炎(以下、AD)に対してデュピクセント治療を始めるにあたり、疾患活動性の状況(IGAスコア、EASIスコア、体表面積における病変の割合(%))を数値化し、ある一定以上の数値に達するほど重症な場合のみ保険適用となる。海外でデュピクセントを開始し、症状が改善しているため、数値をクリアできないケースにおいて、保険適用となるのか?」と発売元のサノフィ(株)に問い合わせることとなりました。
2020年12月22日時点におけるサノフィ(株)からの回答としては、「過去にそのような事例がないため不明」というものでした。製薬会社から「保険適用となる」という回答以外の場合、「保険適用にはならない」ということを意味します。
海外デュピクセント①のようなケースを想定されていなかったというのは残念ではありますが、日本国内で健康保険を使って治療を受けるのであれば、国内で設定されたルールに従わなければならないのは当然です。では、ルールに則ってスムースに「海外→国内デュピクセント治療」に移行するにはどのようにしたら良いかを考えた場合、海外の主治医に「デュピクセント開始前の疾患活動性の状況(IGAスコア、EASIスコア、体表面積における病変の割合(%))を数値化していただき、そのデータを持参する」というのが最良かと思われます。
海外デュピクセント①にて記載したように「数値化された治療前の疾患活動性の状況(IGAスコア、EASIスコア、体表面積における病変の割合(%))」さえ把握することができれば、その他の条件は医療機関側の問題なので、ルール上は問題はありません。実際に、転居など患者様のご都合により国内→国内でデュピクセント治療を受ける医療機関が変更となることがあるのですが、その場合引き継いだ医療機関では「前医が数値化した疾患活動性の状況をレセプトに記載すればOK」ということになっております。
ご参考までに各スコアの情報を示します。日本語表記のものは「デュピクセント臨床試験情報」より、英語表記のものは以下のサイトより転載しました。
・https://www.eczemacouncil.org/assets/docs/Validated-Investigator-Global-Assessment-Scale_vIGA-AD_2017.pdf
・http://www.homeforeczema.org/research/easi-for-clinical-signs.aspx
海外の主治医も各スコアについては熟知されていると思いますが、そうではない場合、これらの情報をご参考に「ADにおける疾患活動性状況の数値化」をご依頼いただければと思います。海外医療機関でデュピクセント治療を開始する前に各スコアの数値化ができていないケースにおいても、以前のカルテの記載を元に数値を算出することは可能ですので(「体表面積における病変の割合(%)」の算出は皮膚科医であれば容易ですから特に問題はないでしょう)。
今回は「海外でADに対し開始されたデュピクセント治療を、日本国内で継続するにはどのような点に気をつければ良いか?」というかなり対象者が限定される記事内容となりました。
ご帰国前に「デュピクセント治療前のADにおける疾患活動性状況の数値」を把握し、是非日本国内においてもデュピクセント継続による快適な日常生活を実現することができるよう願っております。
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