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ピコレーザー照射後の色素沈着への対応は可能ですか?



患者様よりお問い合わせを頂きました。

こんにちは。質問すみません。

7月から1か月に1度のペースで3回光フォトを受け、シミやそばかすなどだいぶ消えました。しかし右の頬だけモヤモヤが残ったので、10月にその部分だけピコレーザーを当てたのですが、2か月経つ今炎症後色素沈着なのかどんどん濃くなってきていてとても不安です。

メイクでも隠しきれないので、同じクリニックで先週その部分だけトラネキサム酸の注射を打ちましたが、また濃くなってしまいました。

このままで大丈夫なのか受診して、相談にのっていただきたいのですが、可能でしょうか?

5月からトラネキサム酸、シナール、亜鉛は飲み続けています。来週またトラネキサム酸注射ですが、やらない方が良いのか迷っています。

当院からの返信です。

〇〇様

お問い合わせ頂きありがとうございます。
松島皮膚科医院の松島弘典です。

ご質問の「ピコレーザー照射後の色素沈着への対応」について回答いたします。

まずはご質問に回答するにあたり、以下の点が重要となります。
(1)どの様な疾患に対してレーザー治療を行ったのか
(2)レーザーのフルーエンス(出力)がどのくらいだったのか

(1)に関連する「右頬のモヤモヤ」についてです。フォト治療をお受けになり、シミやソバカスがある程度消えた状態でも残っていることを考えると、モヤモヤの正体は「肝斑」もしくは「ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)」の可能性が高いと考えます。

(2)に関連するフルーエンスです。ピコレーザーとは「パルス幅(照射時間)が短いQスイッチレーザー」となります(保険診療においてもQスイッチレーザーに分類されています)。Qスイッチレーザー同様に、ピコレーザーにおいても肝斑に対しては「トーニングモード(弱めの照射で術後に大きな変化なし)」、ADMに対しは「通常モード(術後に薄いかさぶたや色素沈着を一時的に生じる)」を用いて治療します。

ここまでをご理解いただいた上で、更に推測していきます。

今回のピコレーザー治療では思わしくない色素沈着が残ってしまいました。このことより照射方法は「通常モード」であったと思われます。通常モードでの治療は、肝斑に対しては「不適切」、ADMに対しては「適切」な治療です。

肝斑に対してピコレーザーの通常モードで治療した場合、「極度の肝斑の悪化(=色素沈着の増強)」を生じます。この状態になると、元々の肝斑の色調に戻るまで約1年程度の時間が必要です。
(当院では老人性色素斑(シミ)と肝斑が混在したケースであっても積極的にレーザー治療を行っているので、肝斑の一時的な増悪はよく経験しますし、その状態が改善する様しっかりと対応しています)

ADMに対してピコレーザーの通常モードで治療した場合、「ADM自体の色調改善、および一時的な炎症後色素沈着」が同時に起こります。この状態を見ると一時的に悪化した様に感じますが、3〜6ヶ月後には炎症後色素沈着は落ち着き、ADMの改善状況を判断することができる様になります。ADMを完全に消失させるには約5回程度の照射が必要なため、この治療を必要な回数だけ繰り返していくこととなります。

今回いただいた情報で推測できるのは、ここまでとなります。
これ以上のことは、実際に診察してみないことには分からないため、ご希望がございましたら、一度御来院いただけましたら幸いです。

なお、「肝斑」、および「レーザー治療後のADMに生じた炎症後色素沈着」のどちらであっても、一般的にトラネキサム酸注射は有効です。ただし、前回の注射後に症状が悪化した様に思われるのであれば、止めておいた方がよろしいかと思われます。

回答は以上となります。
ご検討ください。

なお、今後の来院・受付に関する事務的なご質問は、下記までお電話にてお問い合わせください。
Tel:043-423-3552

どうぞ宜しくお願いします。



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