アナウンスBlog
5.262024
下肢静脈瘤と色素沈着の関係性とは?
患者様よりお問い合わせを頂きました。
下肢静脈瘤の手術をしてから、足首に色素沈着ができました。
ステロイドの塗り薬を塗っていますが、まったく治りません。
治りますか?
当院からの返信です。
〇〇様
お問い合わせ頂きありがとうございます。
松島皮膚科医院の松島弘典です。ご質問の「下肢静脈瘤と色素沈着の関係性」について回答いたします。
まず始めにお断りさせて頂きたいのですが、実際の診察なしに「治る」、「治らない」を判断することは非常に困難です。今回の返信内容につきましても、あくまでも一般論としてお読みください。
ご質問文には「下肢静脈瘤の手術をしてから・・・」とありますので、ご自身は手術の影響で足首に色素沈着が発生したとお考えのことと存じます。手術に伴う一連の操作(術前の消毒、手術自体、術後の処置、テープ固定など)によって生じた場合、皮膚への侵襲ということになりますので、それらによる皮膚ダメージの結果、炎症後色素沈着が発生したということとなります。このようなメカニズムで発生した炎症後色素沈着は、通常、時間の経過と共に自然と回復していきます。「日焼けによる色素沈着が冬になると紫外線の影響が少なくなり回復してくる」ようなイメージとなります。この場合、ステロイド剤を外用しても炎症後色素沈着は改善しません。
一方、下肢静脈瘤をお持ちの方には、静脈瘤による下肢血流の滞りが発生し、その影響による「うっ滞性皮膚炎」を生じる場合があります。うっ滞性皮膚炎は強い皮膚炎を生じますので、皮膚炎を治療せず放置しておくと、高い確率で炎症後色素沈着を生じます。うっ滞性皮膚炎を生じた場合の第一選択としてはステロイド外用剤となります。また頻繁にうっ滞性皮膚炎を生じているケースにおいては、その原因と考えられる下肢静脈瘤の根本的な治療をお勧めしています。
ご自身の場合は下肢静脈瘤の手術をお受けになられているので、うっ滞性皮膚炎ではないと思われますが、下肢の血流悪化(静脈系)に静脈瘤以外の要素が絡んでくるとまた話が変わってきてしまいます。従いまして、手術をお受けになった主治医に、一度質問してみてはいかがでしょうか?
その上で皮膚症状に関しての診断、治療をご希望の場合、一度ご来院いただけますと幸いに存じます。
回答は以上となります。
ご検討ください。なお、今後の来院・受付に関する事務的なご質問は、下記までお電話にてお問い合わせください。
Tel:043-423-3552どうぞ宜しくお願いします。
アナウンス Blogカテゴリー
アナウンス Blog
- 日本レーザー医学会総会で学会発表してきました2024年11月17日
- アトピー性皮膚炎へのデュピルマブ適否と他の対策について2024年11月3日
- レーザー治療後の炎症後色素沈着は一生治りませんか?2024年10月27日
- 先天性ホクロと異所性蒙古斑の治療を同日に受けられますか?2024年10月13日
- 陰嚢被角血管腫の治療後に血栓ができて問題となりますか?2024年10月6日