アナウンスBlog

【院内勉強会】乾癬治療における医師・患者の認識の相違



本日は昼休みの時間を利用して、セルジーン(株)さんによる「オテズラ錠 院内勉強会2018-03」を開催しました。

尋常性乾癬と関節症性乾癬の治療薬であるオテズラ錠に関しては、これまでも当院アナウンスBlogにおいて多数取り上げてきましたので、ご興味のある方は本ページ下段の「オテズラ錠 関連記事」をご覧ください。

今日の院内勉強会の内容で最も印象的だったのが、「乾癬の病勢(病気の勢い。症状の強さ)を判断する際に最も重要視している点が、医師と患者様の間に違いがある」というアンケート結果でした。

医師は「皮疹(皮膚病を患っている皮膚のこと)の面積」であり、患者様は「かゆみ」でした。これには衝撃を受けました。

乾癬という病気は、全身の広い範囲に紅斑(こうはん:皮膚の赤み)が出現し、その部位に厚い鱗屑(りんせつ:正常皮膚では見ることができない角質が、塊となって付着している状態)を伴う病気です。そもそも紅斑自体が患者様にとって辛いものですし、それらが顔面や前腕といった露出部位に現れてくると、日常生活への影響も出てきてしまいます。鱗屑がひどいと衣類の脱ぎ着の際にボロボロと床に落ちたり、頭部の場合はフケ様症状となり濃い色調の衣類を着にくくなってしまいます。

この様な症状の他に、乾癬では「かゆみ」も伴いますが、その程度は様々で「全く痒くない」という患者様も多数いらっしゃいます(統計を取ったわけではないので、あくまでも私自身の臨床経験からの印象ですが、半数近くの患者様はかゆみを感じてらっしゃらないと思います)。

乾癬とはこういった病気であるため、前述のアンケート結果にもある様に、医師側は「皮疹が拡大していれば悪化(=病勢が強くなった)、縮小していれば改善(=病勢が弱くなった)」と判断していました。治療経過や薬剤の効果判定でも「皮疹面積の縮小具合」で評価していました。

紅斑や鱗屑といった皮疹はもちろん患者様の大きな悩みであることは間違い無く、改善していくことは大変喜ばしいことなのですが、それ以上に患者様は「かゆみ」で悩んでらっしゃったという点に、医師側の認識不足を鋭く指摘された思いでした。

乾癬には「ケブネル現象」とって、掻破を繰り返すと皮疹が悪化や拡大しやすいという特徴もあるため、かゆみを訴える患者様の「かゆみコントロール」に関しては、これまで以上に注力していきたいと思います。

本日の院内勉強会の主題である「オテズラ錠」は乾癬皮疹の改善のみならず、かゆみの軽減にも大変有効とされている内服薬です。当院では既に多数の患者様に内服していただいておりますが、かゆみの強い乾癬患者様でまだオテズラ錠を内服されていない方に関しては、再度本薬剤の効果について説明していきたいと思っています。



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