患者様よりお問い合わせを頂きました。

アイシャドウを塗ると瞼にかゆみ、赤み、腫れがでてしまい、数日塗り続けると、まぶたがガサガサになります。ステロイド軟膏を塗ると治るのですが、アイシャドウを塗るたびに炎症が起こっていては色素沈着などが心配です。

そこで皮膚科でパッチテストをしていただこうと検討しているのですが、パッチテストパネルSなどでアレルゲンを特定しても、どの化粧品ならば使用しても大丈夫かどうかという判断には有用でないのでしょうか。

またこの場合の検査にかから費用を、概算で構いませんので教えていただきたく思います。

よろしくお願いいたします

当院からの返信です。

〇〇様

お問い合わせ頂きありがとうございます。
松島皮膚科医院の松島弘典です。

ご質問の「パッチテストの有用性、費用等」について、項目別に回答いたします。

（１）アイシャドウによる接触皮膚炎（かぶれ）について

アイシャドウを塗る度に皮膚炎を生じているのであれば、それが原因であることは明らかですので、使用の中止が必要です。アレルギーが原因の皮膚炎は、繰り返すほどに症状が強くなるためです。強い皮膚炎の後には「炎症後色素沈着」を生じますし、繰り返すと茶色味が自然消退しなくなる場合もあります。

（２）Q.1「パッチテストパネルSなどでアレルゲンを特定しても、どの化粧品ならば使用しても大丈夫かどうかという判断には有用でないのでしょうか?」

A.1 パッチテストで判断できるのは、「どのアレルゲン（アレルギーの原因物質）に皮膚が反応するのか」という物質ごとの検査結果が得られるだけですから、「この化粧品なら安全に使用できます」という確証が得られるわけではありません。

ただし、パッチテストパネルSに含まれるアレルゲン検査薬は接触皮膚炎の頻度が高いものを集めていますので、陽性になるアレルゲンが判明した場合には、それらを含まない化粧品を選択するというためにはお役立ていただけると思われます。パッチテストパネルSにおける化粧品関連の項目は以下の通りです。

・ラノリン
・香料ミックス（α-アミルシンナムアルデヒド、イソオイゲノールなど）
・ロジン（精製松脂）
・パラベンミックス（メチルパラベン、エチルパラベンなど）
・ペルーバルサム
・イソチアゾリノンミックス

パッチテストは化粧品に含まれる全成分を網羅しているわけではないため、安全に使用できるかどうかの最終的な判断は「チャレンジテスト（アレルギー反応の生ずる疑いのある化粧品を実際に皮膚に塗布してみて、その反応を見ること。通常、目立たない部分の皮膚を用いて行う）」になります。

（３）Q.2「パッチテスト検査にかかる費用を概算で構いませんので教えていただけますか？」

A.2 パッチテストに関連する「試薬代＋検査料」の合計が19,270円（3割負担の場合5,780円）です（2021年3月現在）。その他、初診料、再診料（2回目以降の通院）等が加算されます。

回答は以上となります。

ご検討ください。
どうぞよろしくお願いします。