医療レーザー治療の基礎知識
医療レーザー機器の種類
医療レーザー機器は、メーカー各社合わせると何十種類もあり、それぞれに特徴があります。適切に使えば、それぞれ優れた機械なのですが、使い方を誤れば、当然大きな副作用が出てしまいます。
それでは、シミやアザに対して使用されている医療レーザー機器には、どのようなものがあるのでしょう。
水に吸収されるレーザー(主に炭酸ガスレーザー)
炭酸ガスレーザーは、水に吸収されるレーザーです。メラニンに吸収されるレーザーとの最も大きな差は、「正常な皮膚にもレーザーが反応してしまう」という点です。なぜなら、皮膚には正常、異常にかかわらず、水分が大量に存在するからです。
つまりシミの周りや、シミの真下にある正常な皮膚といった、本来ならばレーザーを反応させたくない部分にまでその影響が及んでしまう(=ヤケドを作ってしまう)のです。
このタイプのレーザーをしみに対して使用し、安定した結果を出す場合は、非常に優れた職人技が必要となります。
メラニン色素に吸収されるレーザー(比較的照射時間が長いもの)
メラニンに吸収されるレーザーには、大きく分けて二種類あります。一方は「照射時間が長いもの」、もう一方は「照射時間が極端に短いもの」です。
「照射時間が長いもの」であっても、正常な皮膚には反応しないので、炭酸ガスレーザーよりは選択的といえます。しかし問題は、「照射時間が長い」という点です。これは、「一歩間違えると、レーザーを強く当て過ぎることによるヤケドを作ってしまう」ということを意味します。
従って、メラニンに吸収されるレーザーであっても、照射時間が長いレーザーを使って治療を受ける場合には注意が必要です。
メラニン色素に吸収されるレーザー(ごく短時間だけ照射できるもの)
最後の「照射時間が極端に短いもの」は、すべてQ-スイッチ付きレーザー機器と呼ばれるものです。これらには、高度な技術によって実現した「Q-スイッチ」という、レーザーの照射時間を極端に短くする特殊な部品が付いています。この「Q-スイッチ」の登場で、医療レーザー治療は大きく進歩したのです。
どのくらい照射時間が短いかというと、「Q-スイッチ」付きレーザーは、照射時間が長いものに比べ、照射時間を約一万分の一に抑えることができます。そして実際の照射時間は、一億分の五秒程度です。
ちょっと想像がつかないほど、短い時間じゃないですか?
しかし、しみやあざを安全に治療するには、このくらい短いレーザーの照射時間が必要なのです。この短い照射時間があってはじめて、病気の部分だけに照射することが可能になったからです。
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